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痩せ枝や 花尾踏みしめ いくとせを
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街を歩いているとろくなことがない。とくに日中はそうだ。昔日の姿とそこから派生して現在に至る俺の骨や皮まで透き通して、街行く人は見据えていく。俺は辛抱たまらず日陰を歩く。日陰をシェルターだと思う自分に辟易する。どこにも隠れ場所などないのだ。ただひとつ夜の闇以外には。今日は女を見かけた。女が歩いていた。人も疎らな街の道中で、女は男と歩いていた。その女は俺がかつて好きだと思っていた女だ。女が男と歩いていた。俺は街路樹を挟むように歩き、身を縮めて、サングラス越しに二人を凝視した。 人間には接近許容距離というものがある。親しさに応じて、相手が自分のどこまで近づいても不快にならないかの数値だ。それには一種の権威が与えられている。俺は彼女と接している間、どこまで接近を許されたか考えた。せいぜい1mだろう。これは女性にとっては他人の距離だ。では目の前の男女はどうだ。女の右手と男の左手は掌を合わせる形でしっかりと結ばれていた。距離にしてゼロ、ゼロセンチメートル。この距離の指し示す親しさは説明するまでもない。俺は吐き気を堪えながらその場を逃げるように去った。 帰ってきてから甘い甘いコーヒーを飲む。ブラックコーヒーをいれることができる準備は俺の部屋にない。部屋のどこからゴキブリが発生しても可笑しくないごたつきの中、冷蔵庫の中身は半分が腐敗臭を漂わせている。俺はこの部屋にいるのが耐えがたく思う。俺はいつだって、手持ち無沙汰になると看板を作る。今日も看板を作ろうと思った。しかし金が無い。立ち上がる権利さえ与えられていない。俺には仕事もない。首になって久しい。俺には金が無い。底に穴の空いた靴、その代わりを買う金さえない。 PR コメントを投稿する
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