忍者ブログ
痩せ枝や 花尾踏みしめ いくとせを
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

すてきな報酬をいただきました。


 先日をうけての今日の話です。


 ビブリオバトルという競技をご存じでしょうか。気になる方はググっていただきたいのですが、いわゆる書評合戦と評されるもので、5分間で書籍の紹介を行い、その後の3分でオーディエンスとの質疑応答を行い、それを複数人で行って、聴衆から「どの本が一番読みたくなったか」を判断基準に投票、それをもってチャンプ本を決める、というものです。立命館大の教授が開発した競技で、非常に歴史が浅いのですが、今月30日には全国大会も秋葉原で行われる全国区の競技です。

 で、21日の金曜日に、私が現在所属している大学で予選会が行われました。それぞれでビブリオバトルをして、その会を本部に申請すれば予選会として認定される、というものなのですが、うちの大学では定期的にビブリオバトルで戦い合っている研究室があり、先日行われた予選を再戦する、となって、Twitterで参加者を募集していたんです。で、その本丸は私が所属しているのとは別のキャンパスの人たちで、もちろん最初はそのキャンパスの人たち向けに情報発信していたようなのですが、私がこっそりそれをかぎつけて、何とかして参加させてくれないか、とお願いしたんです。常川さんというコーディネータ兼参加者の方が快くOKしてくれたこともあり、私はなんとかどさくさ紛れに足を踏み入れたこともないキャンパスの研究棟に出向くことになりました。

 当日の聴衆はだいたい十五、六名ほどだったと記憶しています。発表者(バトラー)は私を含め4名でした。もちろん誰一人として顔見知りはいません。加えて言えば、参加者のほとんど全ては大学院で勉強している人々で、学部生は私一人でした。直前になってサークルの面々に観戦を求めましたが、結局誰もたどり着けませんでした。

 当日、ビブリオバトルに望むに当たって、私はサークルメンバーのメーリングリストで自分が参戦することを伝えてありました。それは全て自分が発表するつもりの本がサークルで制作している冊子だったからです。本当なら、そのビブリオバトルの様子がネット配信されて、それを見て初めてサークルメンバーが自分たちの会誌を使うんだ、と気付いてくれるのが理想だったのですが、配信が無かったこともあり、事後報告という形になりました。結果をお話しすれば、4人中の2位、一位の常川さんとは一票差でした。常川さんに票を入れたのは私自身であったので、非常に悔しいとも思いましたし、同時に、レギュラーでビブリオバトルをしている人の発表方法や姿勢を初めて生で目の当たりにして、「あぁ私は敵わないなあ」と感心したりもしました。総合的に言えばプラスの方がずっと大きかったです。



で、本日、つい先ほどの話になるのですが、私が自室に籠もってぼんやりとプロレス動画を流しながら本を読んでいたところ、連絡もなく私の部屋を訪れる人がいました。私はとりあえず覗き窓を見たのですが、それは後輩でした。仮に彼を「義理堅い彼」と呼ぶことにしましょう。私はその時すっかり気の抜けた格好で、トランクス一枚しか身に着けていなかったので、急いで寝間着のシャツとジャージを引っかけてドアの鍵を開けたわけです。義理堅い彼は私にとくに用事はないでしょうし、私も何か深刻な用事だろうか、などと不安になりながら義理堅い彼の顔を見たわけです。

義理堅い彼は私の顔を見るなり、コンビニの袋を渡してきました。中にはポテチやらなんやらが雑多に入っています。私は「アレ、私は施しを受けるような仕事をしたかしら」と不思議になりましたが、乞食根性でとりあえず受け取りました。義理堅い彼曰く、「お礼」なのだそうです。その時私はようやく、「あぁ、そう言えば先日、報告がてら回したメーリスで、義理堅い彼の作品を中心に語ったと書いたなぁ」と思い出しました。義理堅い彼はどうやら、私がアウェーのビブリオバトルに単身外敵として乗り込むに当たり、彼自身の自作小説を取り上げたことについて、私に随分と壮大な恩を感じているようでした。私がビブリオバトルで戦ったとはいえ、それによって義理堅い彼自身はなんら報酬もマージンも得ていないどころか、手土産まで持参しながら面と向かって礼を言う当たり、私は「このひとは義理堅いなぁ、すごいなぁ」と思いました。私は二、三言かわした後、「なにかお返しを」と「ビールは飲むか」などと聞きました。義理堅い彼は好きではないと言うので、「では他のものを」と考えていましたが、あまり考えていると向こうも気を遣うだろうと思ったので、「じゃあいただくだけにします、ありがとう」と言って会話を切りました。お礼を言いたい人とお礼を言われるほどではないと思う人が対面で会話すると、たいていがとりとめなく終わりなく同じ内容の会話を繰り返します。「これは早めに切り上げないと、お互いにそんだぞ、ここは先輩としてさっぱりするべきだぞ」と思い、風邪気味であるという義理堅い彼をねぎらい、お大事にと言って部屋の扉を閉めました。

改めて袋を開くと、ビールやらお菓子やらがなにやら雑多に入っていました。そのどれも方向性が違い、義理堅い彼が私の部屋から最寄りのコンビニの店内で「先輩はビールが好きだ、ならおつまみが合った方がいいか、でも甘い物が食べたいかも知れない、夜通し卒論をしているなら夜食もあったほうが」などといろいろ考えていたのだろうなぁ、とその様子がぼんやりと想像出来ました。

私の価値観の押しつけになってしまうだろうな、とは思いましたが、追加で義理堅い彼には先ほど、ケータイ電話にメールを送りました。それを好意的に受け取るならばそれはそれでいいし、「この先輩は恩知らずだ!」と判断するならそれはそれで私も気持ちが楽なので、少し悩みましたが、小言をメールしました。

本来、ビブリオバトルには勝者はある一方、別段報酬は保証されていません。自分の好きこのみで行う以上、ねぎらいさえ期待できません。しかし今回は、むしろ私が恐縮してしまうような施しを、義理堅い彼からいただきました。ひとまずこれを今回の首都決戦ビブリオバトル予選会の落選記念としていただこうと思います。

二日遅れではありましたが、すてきな誕生日プレゼントでした。





以上。

拍手[0回]

PR
コメントを投稿する

HN
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
カウンター

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール

HN:
ィヤンキー・キャムキャムメロン
性別:
男性
職業:
求職中
最新コメント

[04/22 たま]
[10/16 ィヤンキー・キャムキャムメロン]
[03/19 此礼木冨嘉]
[03/16 牛濱]
[08/07 秋梨]
ブログ内検索

バーコード

忍者アナライズ